宮参りで男の子の額に「大」、女の子の額に「小」と書く理由~親の溢れんばかりの愛情~ 

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宮参りで男の子の額に「大」、女の子の額に「小」と書く理由

ユキ
関西地方では、宮参りのときに赤ちゃんの額に文字を書くらしいよ!
なでしこ
そんな風習があるんですね…でも、それってどんな意味があるんでしょうか??

今日は、宮参りの中でも関西特有?の慣習について掘り下げていきます!

実はこの記事を執筆しているのには理由があります。

わたしが10年以上前にはじめての子を出産したとき、夫の実家である関西地方でお宮参りをしたんです。すると・・・義母が写真撮影の前に生後1か月の娘の額に「小」の文字を書きました。

はっきり言って驚きました。

「なにしてくれてんねん!」(なぜか関西風??)

と心の中で思いましたが(もちろん、口には出せません・・・)もやもやした気持ちを心に抱いたものです。

 

結婚、出産、子育てには文化の違いで相手のことを悪く思ったり、居心地が悪かったり、もやもやすることってたくさんあると思うんです。

けれど、「知ること、その人の身になってみること、理解しようとすること、受け入れること」で解決することもたくさんあります。

前置きが長くなりましたが、地方地方によって色々な考え方や風習があるよ!そして、関西にはこうした宮参りの風習があります。というご紹介です。あなたが不必要に不機嫌にならないためにも、是非読んでみてください。

この記事を書いた人
着物Lifeアドバイザー かつた ゆき
年間200日の和服生活を通じ、日常に和服を取り入れることの良さや和服を通して学んだ日本人的生き方、考え方を次の世代に伝えるために日々活動しています

 

額に「小」と書かれてもやもやした話

お宮参り 女の子小

今回は、関西地区限定の話・・・?なのですが、知っておくと、自分の身に同じことが起きた時に慌てないで済みます。

・関西出身の方と結婚した人
・結婚相手のご両親が関西の人

は頭の隅に置いておくと将来きっと役立つと思います。

それは、わたし自身が人生で初の出産⇒その後のお宮参りでの出来事でした…。もう、10年以上前の話ですが、あまりにも衝撃的だったので今でも深く印象に残っています。

我が家は主人の実家が大阪でしたので、自分たちが現在住んでいる関東で出産しましたが、孫の顔を見せるのも兼ねて、大阪の有名な神社で娘の宮参りを行ったのです。

 

その頃のわたしは、宮参りの意味なんて知りません。

【氏神様に挨拶する】という本来の目的を知りませんでしたので、自分たちが住んでいる地域を普段お守りしてくださっている氏神様のことを無視して大阪の有名神社へ向かいました。

(もう、この時点でセレモニーというより、イベントですね…)

記念撮影も勿論予約しました。我が子の姿をしっかりと残しておきたいですもん!

そして、いざ当日、身支度を整え、写真スタジオへ行き、撮影の準備をしていたんです。

すると…

義母が、真っ赤な口紅で、娘の額に「小」という文字を書きはじめました。

もう、わたしは訳が分かりません…

 

関西限定?男の子の額には「大」、女の子の額に「小」と朱を入れる

もう、わたしは訳が分かりません…

「なんで…?」

「小って…?」

「どういう事…?」

 

疑問と同時に不快感が湧き始めます。

で、思い切って聞いてみたんです。
「これは、どういう意味なんですか?」って。

 

そうしたら、
「男の子は【大】女の子は【小】って書くんやで~。」

というニュアンスの言葉が返ってきました。(義母は、ずっと大阪の人です)

 

(だから…どうして?どうして【小】なの?大ならまだしも…【小】ってなんか、良い意味に捉えられないんですけど??)

ちょっと面食らってしまったのですが、もう一度、聞いてみたんです。

「【小】ってどういう意味なんですか?」

けれど、昔からこう決まっているという風に言われたような気がします。すみません…動揺のあまり、記憶が曖昧です。でも、詳しく聞いて納得したという記憶はないので、「慣習だよ」ということを伝えられ、その意味や由来、理由については教えてもらった記憶はありません。

 

結局額に「小」と書かれた我が娘は、そのまま記念撮影を終え、その後神社へ参拝へと向かいました…。(しかも文字が少し斜めってるし…)

(わたしはなんだかスッキリしないまま…)拝殿に上がり、お祓いと祈願をしてもらって、ちょっと有名な橋で写真を撮ったのだけは覚えています。

 

本来は魔除け。元は「×」や「犬」だった!

犬張り子 宮参り 小物

後々調べてみると、地方により差はあるようですが、魔除けの意味で【×】や【犬】の文字を書く風習があったようです。古くは平安からのもので、発祥はかなり昔ですね…。

【×】は神の加護を受けていると示す印
【犬】は元気にすくすく育つことへの願い

後にそれが転じて犬から【大】になり、対になる【小】が出てきたとか…。(ちょっとその発想はアバウトすぎると思いますが…)

 

いずれにしろ、産まれてきた赤ん坊を守る為の周囲の心遣いなんだなぁと分かってはじめて納得でき、心がスッキリしました。

知っていれば、ありがたい心遣いも意味が分からなければわたしのように、「どうしてそんな事するの?」と不快に思ってしまう部分もあり、実際、娘の額に口紅で文字を書かれた時には、母としては良い気はしませんでした。しかも、文字が【小】だったし…。小さくなれよ!と言っているみたいで(*_*)

 

けれど、そうやって額に文字を書くことで、「この子を守ってください」や、「元気に育ちますように」という願いが込められているというのを知ってやっと「不快」が「ありがたい」に変わったのです。

つまりは、同じ出来事を体験していても、本人の受け取り方によっては悪いようにも良いようにも受け取れるということですね。

わたしのような思いをした人は、少なからずいらっしゃると思います。

文化の違いでもやもやが起きてしまう原因

・知識として「知らないから」
・「自分の判断でものごとをみているから」

だと思います。ただし、地方特有の習わしのようなものはよそ者には分かりません。だからこそ、それを行っている人が知らない人に対して、理由も添えて伝えて行って貰えたらなと思います。また、受け取る側にしても、自分が知らないことに対しても興味を持ち、受け入れる器をつくっておくことが必要ですよね(*^^*)

日本経済新聞社の2014年の記事にも内容が書いてあります▼

子の成長願う関西流儀 由来は?(謎解きクルーズ)
晴れ着に祝儀袋・乳児の額に文字… 貴族・商人文化の薫り

https://www.nikkei.com/article/DGXLASIH28H05_Z21C14A0AA1P00/

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弱い存在を目に見えないものから守る親の溢れんばかりの愛情

宮参りイラストこうした、【弱い存在を目に見えないものから守る】という考え方は、日本全国にみられます。特に子供の死亡率が高かった時代は、その子が育たなかった原因を目に見えないものに取り付かれたと考えたのですね。

生まれた子供に悪霊が取り付かないよう、「いらない子」と見せかけて、一度捨てる(振りをする…後に拾います。)

というのも全国にある話だそうで、名前に捨(すて)がついて一見大切にされていなさそう、付けられた本人が可哀そうだと思える

捨吉、捨子

といった名前の裏にも、本当は、「この子は丈夫に育って欲しい!」という親の溢れんばかりの愛情がこもっているのです。

 

まとめ

宮参りをはじめ、セレモニーには形式だけではない、本来の意味や誰かに当てた想いが必ずあります。

けれど、現代ではほとんどの人が以前の私と同じように

「生後30日前後で宮参りをするらしいから、しておこう。」
「記念に写真を残しておこう。」

という感じに受け止めているのではないでしょうか?

 

宮参りの本当の意味、それに使う小物の意味、活用方法まで、私の親も、主人の親も誰も詳しく教えてはくれませんでした。

 

今更聞いても仕方がない事だけれど、こういう小さな云われの意味を知り、セレモニーに臨んでいたら…。その後の気持ちも確実に違っていたと思います。

ただただ、飾りだと思っていたでんでん太鼓犬張り子、意味を知っていれば感謝して使えただろうし、思い出の品になっていたと思います。

結局私は意味を知らなかったから、再度箱に戻して「場所取るなぁ~、どうしよう?」と思いつつ、天袋にしまってありました。(その後7歳の七五三へ神社へ納めました)

「本当に勿体ない事をしたなーー。」と、今になって思います。

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昔からの習わしが今も続いている事自体は素晴らしいけれど、どうもそこに本来の意味が載っていない。知らない、知ろうともしない、考えたこともない。

ただただ、誰もがこなすべき「イベント」と感じるのはきっと私だけではないでしょう。

宮参りや七五三は子供の成長を願う、素晴らしい人生の通過儀礼です。

だからこそ、当人(親)が直前になって慌てたり心配したり後から後悔しなくて済むように、家庭の中で自然に本来の意味を受け継いでいけたらいいなと思っています。

 

これは、着物に関しても全く同じで、ただただ、綺麗に着るだけの着付け方法や、やり方を知るだけではなく

・どうしてそうなっていったのか?
・そこに込められた意味や背景は何なのか?

までを理解していなければ、狭い範囲、自分が知っている範囲でしか物事が見えない【着物警察】になりかねません。

(※着物警察とは…俗にいう、お直しオバサン。)

「衿が抜けていないわよ!」
「あなたの歳ではこれは若すぎるわ」
「あなたの体格にはこの結びは大きすぎる」

などと、人の着方に自分の価値観を押し付け、講釈(こうしゃく)をたれる人。着方を勝手に直す人。

わたしも過去に一度だけ遭遇し、講釈垂れられたことがあります…。

 

日本の文化も着物も本当の意味で次の世代にうまく伝えられないままでは、終わった後に徒労感だけが残り、過ぎた時間、意味不明な飾りものになってしまいます。

 

こうして私が思っているという事は、我々の親の世代が本来の意味を伝えないまま、若しくは、本当に知らないまま育っているから。

もちろん、親が知らないものをうまく子供に伝えられる訳はないので、その後もずっと大切なものが埋もれていってしまいます。

 

カタチだけでやっているセレモニーに本当に意味はあるのだろうか??

・終わった後に心にじんわり沁みたり
・思い出として大切に胸に残ったり

そういう“心”が入ったものが、本来のセレモニーではないのかな、と思うのです。

 

ちょっとしたきっかけで、(あなたのようにこのブログ記事にたどり着くとか)誰かのほんの少しのきっかけで、その後にずっと続いていく将来が変わるきっかけになるなら、あなたやあなたの周囲の人の想い出が何倍にも心に残るものになったら…。

そんな祈りを込めてこの記事を書いています。

なので、読んだあとは、「へぇー。」で終わるだけではなく、ちょっと頭の片隅に置いていただき、将来役立つ引き出しとして使って貰いたいのです!

 

過去のわたしのような勘違いをする人がもっと減ったらいい。誰かが習慣の違いで争いや嫌な気持ちを抱くことがなくなればいい。だってきっと、子供の成長を願う親の気持ちは同じだから…。

 

日本に生きるオトナとして、こどもたちの笑顔が少しでも増えるよう、大切な事を本心から伝えられるよう、わたしも日々精進したいと思います。

 

一緒に明るい未来への架け橋となっていきましょう♪

 

本日も、最後までお読み頂きありがとうございました!

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