街中を歩いていると、ふっと金木犀(キンモクセイ)の香りがすることがありますね
そうですね、香りが風にのってやってくると、とても幸せな気持ちになります。ついこの間まで真夏だったのに、だんだんと季節が移り替わっているのを感じられますね
9月23日~10月7日までは、二十四節気でいう秋の4番目の節気、秋分です。暑さ寒さも彼岸までと言いますが、ようやく秋を肌で感じられるようになりました。今日は秋分の過ごし方やお祭り、風習をみていきましょう。
着物Lifeアドバイザー 年間200日和服生活 和服生活を通じて積み重ねた知識をもとに、日本文化や、二十四節気をはじめとする暦、伝統的行事、名字や家紋、和服について発信しています
二十四節気とは・・・?
二十四節気とは、一般的に用いられる四季、春夏秋冬をさらに細かく、
それぞれ6つの季節に分けたもので、太陽の動きを元に定めたものです。
365÷24=15.20… おおよそ15日毎の季節を表した言い方で、月に2回ずつあります。
平安時代に広まり、日本古来のものと思われていますが、
実は発祥元は中国となります。
農業の目安として取り入れられたものですが、
二十四節気を意識しながら生活すると、
旬のもの、季節を実感でき、暮らしが、心が豊かになっていきます。
春 | 1.立春 | 2.雨水 | 3.啓蟄 | 4.春分 | 5.清明 | 6.穀雨 |
夏 | 7.立夏 | 8.小満 | 9.芒種 | 10.夏至 | 11.小暑 | 12.大暑 |
秋 | 13.立秋 | 14.処暑 | 15.白露 | 16.秋分 | 17.寒露 | 18.霜降 |
冬 | 19.立冬 | 20.小雪 | 21.大雪 | 22.冬至 | 23.小寒 | 24.大寒 |
秋の4番目の節気、【秋分】は、夜が長くなっていく頃
9月23日は秋分です。祝日となっているので馴染み深い言葉ですね。暦便覧では陰陽の中分となれば也とありますが、
この日を境に昼の長さよりも夜の長さが長くなります。
年に2回のお彼岸のうちのひとつです。昔から昼と夜の長さが同じになる日はあの世とつながりやすくなり(西の果てに極楽浄土があるという考え方から)先祖をしのぶ期間となります。
秋の彼岸は9月23日頃で、秋分を中日として前後3日間、合計1週間を彼岸と呼びます。2023年は彼岸入りが9月20日、彼岸明けが26日となっています。
秋のお彼岸にいただくのはおはぎ、春のお彼岸にいただくのがぼたもちと呼ばれています。どちらにも小豆が使われていますが、こうした行事食にも意味があるんです!
小豆は昔から邪気を払う食べ物とされているんですよ。
秋分の草花
金木犀
オレンジ色の花を咲かせ、香り高い植物。街路樹や生垣としても多く植えられています。花言葉は初恋。
芳香剤でも金木犀の香りがありますね。金木犀の香りには、わたしたちの心をリラックスさせる効果があると言われています。
また、金木犀を使ったお酒が桂花陳酒(けいかちんしゅ)だということを知っていましたか?あの独特の香りは金木犀だったんですね。
桂花陳酒は白ワインに金木犀を3年間つけたものを呼ぶそうですよ。お酒好きの方は寝る前のリラックスとして取り入れてみてはいかがでしょう?
りんどう
和名は竜胆(りゅうたん)。美しい色と縦に沢山並んだ花は、上に伸びる生命力、力強さ、凛とした美しさを感じさせますね。根は漢方に使われ、胆汁のように苦いことからこの名がついたと言われています。群生せず、単独でも咲き、9月中旬~下旬が見頃となります。花言葉は「勝利」「正義感」「寂しい愛情」などです。
光に反応して開花するので、曇りの日や夜には花弁を閉じる性質があります。
秋分の装い
単衣が心地よい頃。袷になると着物の重量が増すので軽い着物でたくさんお出かけしたい時期ですね。
庭園や植物園など、自然が感じられるところに行くことで、草花からのパワーもいただけますし。
【秋晴れ】と言い、お天気の日も多いですが、秋雨前線の影響で急に雨が降ることもあるので、天気予報に注意して急に雨に降られても困らないように対策をしましょう。
この時期に着たい柄
秋分の頃は、紅葉やぶどう、菊の柄を着ると良いでしょう。菊は、年中通して着られる柄ですし、これから見頃を迎えます。ぶどうはたくさんの房をつけることから豊かさや実りを表します。弦などと共に描かれることも多く、力強く弦をのばすことから繁栄の意味も含まれます。
秋分の風習:秋の彼岸
秋分を中日とし、前後3日を合わせた1週間を彼岸と呼ぶことを先述しました。彼岸にはお墓参りに行くということからも、仏教と深いつながりがあることがわかると思います。
墓参り
お彼岸にご先祖のお墓参りに行かれる方も多いでしょう。墓石を綺麗にしたら最後は拭きあげて帰りましょう。また、遠方で墓参りに行けない方は仏具や仏壇のお手入れを行うことで、ご先祖とつながる時間を自然と持てますね。
彼岸に行うこと
彼岸という言葉は仏教用語をの理想の境地を表し、煩悩(ぼんのう)を解脱(げだつ)した涅槃(ねはん)の状態という意味です。彼岸に至るための6つの行いがあり、それを六波羅蜜(ろくはらみつ)と言います。
- 布施(ふせ)… 親切
- 自戒(じかい)… 言行一致
- 忍辱(にんにく)… 忍耐
- 精進(しょうじん)… 努力
- 禅定(ぜんじょう)… 反省
- 智慧(ちえ)… 修養
↓↓↓こちらのページにわかりやすく述べられていますので、詳しく知りたい方は参考になさってください。
彼岸の期間は、先祖をしのぶことの他に、自分と向き合い六波羅蜜を実践する期間でもあります。普段から心掛けたいことですが、この時期は特に意識してみてはいかがでしょう?言葉尻でとらえてしまうと、別の意味で苦しくなってしまう可能性があるので、是非内容によく触れてから実践してみてください(^_-)-☆
秋分のお祭り:長崎くんち(10月7~9日)
長崎くんちは毎年10月7~9日に行われる、長崎の氏神「諏訪神社」の秋季大祭です。日本三大祭とされており、全国的にも有名です。
色彩感覚にあふれる衣装や音楽、異国情緒あふれる祭りです。龍踊(じゃおどり)のイメージが強いですが、多くの奉納踊があり、すべてを見るには7年間通いつづけなければいけないと言われているそうです。
くんちの名の由来は、9月9日の「くにち」からという説があります(旧暦9月7~9に行われていた)。9月9日は重陽の節句で、陽が最も極まる日として現在でも五節句のうちに数えられています。
鎮西大社 諏訪神社
- 建御名方神(タケミナカタノカミ)
- 八坂刀賣神(ヤサカトメノカミ)
まとめ
2023年の秋分9月23日~10月7日についてお伝えしました。
わたし自身もお彼岸はお墓参りに行くものと思っていましたが、ご先祖様をしのぶことで、過去から現在の自分につながる時間なのですね。
なんだか自分の命がとても壮大なものだと思えてきました。
普段はご先祖様からのつながりを意識する機会は少ないかもしれませんが、こうして今の自分がいられるのも、誰一人として欠けることなく脈々と命をつないでいただいているからです。
人生において悩み苦しみは度々訪れますが、そんな時には自分一人ではないということ、過去から命のバトンを預かっているということを意識するとなにか解決の糸口がつかめるかもしれません。
六波羅蜜、実践できる範囲で良いので、日常に取り入れて過ごすと未来が変わっていきそうです。
次回の二十四節気は、寒露【かんろ】10月8日~21日です。
あまり知られていませんが、この時期には十三夜というお月見があります。9月の十五夜とセットになっている行事なので、知らなかった方は今年から実践してみましょう♪
本日も最後までご覧いただき、誠にありがとうございました(*^^*)
画像:PHOTOACより
参考サイト:着物の柄
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